FPSヘッドスピーカーF01W / F01BがStereo誌86-87ページに掲載されました。
月刊誌:Stereo
掲載号:2018年11月号
発売日:2018/10/19
出版社:音楽之友社
-以下、原文抜粋-
スケール感とホールトーンを大切にしたふくよかな世界
楽器ことの味わい深さも心に残る聴き疲れの少ないヘッドスピーカーだ
文・村井裕弥 Hiroya Murai
Photo・Y.Kawamura
全面ピストンモーションによる平面=フラットスピーカーはオーディオファンの夢のひとつである。 コンデンサーやリボン、 平面パネルなどによるスピーカーはいつも注目を集めていた。毛色は違うがNXTもあった。 ここで紹介するFPSのヘッドフォン=ヘッドスピーカーは、 業務用平面スピーカーメーカーが、 満を持して製品化した第一作となる。 平面振動板のほか、 Bluetoothでのワイヤレスや、 通話機能など、 今時のヘッドスピーカーとしての骨格を持つモデルに仕上がっている。 前号でその解説を掲載しているが、 ここではホームオーディオ用としての資質を試聴により明らかにする。
多くの実績と高い評価を得ている独自の平面振動板技術
30年以上も前、平面振動板ブームが起こった。オーディオ専門誌はこぞって後押しをし「これからのスピーカーは平面しかありえない」と結論づける誌面もあった。
ペアで500万円くらいのハイエンド機を出したメーカーもあった。大手は数年でブームから手を引いたように記憶するが、今も平面振動板を使い続ける仲間がいる。何を隠そう、筆者もかなり熱心なユーザーだ。やはり「 平面振動板には、固有の魅力がある 」ということなのだろう。
FPSのサイトを見ると、 まずヘッドスピーカーF01W(白)とF01B(黒)が挙げられ、 その後に業務用とおぼしき平面スピーカーユニットが続く。 これらのスピーカーは大学、国会議事堂で既に採用され、「遠くでもはっきり聴こえる」「残響などの影響を受けない」などで、高い評価を得ているのだという。
もちろんこれだけの振動板技術を持っているのだから、将来的にはホームオーディオヘの進出も視野に入れているのだろう。ヘッドスピーカーF01は、そのための先駆けか?
自己顕示的ハイファイサウンドの対極にある世界
今回聴いたF01はBBluetoothを前提に作られているので、多くの方はワイヤレスで使うものと思われる。ただ、DSPを内蔵しているから、どうしてもバッテリーが必要になる。3.5時間充電して、 20時間の連続再生が可能(スタンバイモードだと1000時間)。毎日20時間聴く人はいなかろうが、充電はまめにした方がよさそうだ。ちなみに充電は、付属USBケーブルで行なうから、ACアダプターはついてこない。
試聴は、自宅で行った。筆者はかなり頭が大きいので、ヘッドフォンは装着するだけで苦痛
なことが多いのだが、まずはそのストレスがほとんどないことに驚かされた。
しかも、 ふだんよく使う他社製ヘッドフォンとはかなり違うタイプの音なのだ。振動板が鼓膜に近いのだから、ロスが少ないのは当たり前だが、そこをやけに強調した押しつけ型、自己顕示的ハイファイサウンドの対極にある世界。気がつくと3時間以上も聴いていた。こんなことは何十年ぶり?
ピアノソロのキレのよさやバイオリンソロに圧倒される
フルオケは、 スケール感とホールトーンを大切にしたふくよかな世界。楽器ごとの味わい深さも心に残るが「ここぞ」とあおる指揮者の顔が見えるかのよう。
ピアノソロは、 切れのよさとそのピアノ自体が持つ強烈な個性にくらくらしてしまう。
バイオリンソロは、 中域の太さ・たくましさに圧倒される。演奏ノイズ・会場ノイズが盛大に聴こえるのに、それが下品に感じられないあたりもF01ならではの個性といえるだろう。
ギターソロも太くたくましい音を聴くことができるが、バイオリンソロよりは切れに寄った再生。 要するに「そういう情報(音楽的傾向)が収録されている時だけ、忠実に出す」ということなのだろう。
SPEC
型式● Bluetooth Flat Panel Powered ‘HeadSpeaker’ Wired & Wireless with Microphone
Bluetooth仕様●Bluetooth 4.2+APTX-LL
対応プロファイル●ADPl.3/HSPl.2/HFPl.6
方式●ダイナミック型
使用ユニット●60mmフラットパネル
連続再生時間:約20時間
再生周波数帯域●60Hz-20kHz
通話機能●Bluetooth接続時
外寸●186mm x 200mm x 78mm
重量●300g
カラー●ホワイト&ブラック
問い合わせ先:㈱エフ・ピー・エス Tel.03-5665-6951
ヘッドスピーカーF01は、ヨドバシカメラ(AKIBA、新宿西口、横浜、梅田、博多)で試聴可能