当社新開発のヘッドスピーカーF01W / F01Bが音楽の友誌14-15ページに掲載されました。
月刊誌:音楽の友
掲載号:2018年10月号
発売日:2018/9/18
出版社:音楽之友社
-以下、原文抜粋-
取材・文=山田真一
写真=ヒダキトモコ
アーティストが出会うデジタル・オーディオ
HeadSpeaker (エフ・ピー・エス)編・その1
》松田理奈さん(ヴァイオリン)
最近のデジタル・オーディオの進化は目を見張るものがある。中でもスマートフォンやタブレットと繋げて聴けるイヤフォンやヘッドフォンの進化は、音的にも機能的にも毎年のように優れた製品が投入されている。今号と次号でご紹介するFPS(Flat Panel Speaker) は社名の通り“平面スピーカー”で業界をリードしてきた企業だが、音楽愛好者向けに、平面スピーカーを用いたヘッドフォン「ヘッドスピーカーF01」を新たに開発した。そこで、その聴き心地聞こえ方や機能について、今号では人気ヴァイオリニストの松田理奈さんに語ってもらいました。
松田理奈(まつだりな)
神奈川県横浜市出身。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコースを経て、2007年ニュルンベルク音楽大学を卒業、2010年同大学院を首席で修了。2001年日本モーツァルト音楽コンクール第1位、2004年日本音楽コンクール第1位、2007年サラサーテ国際コンクールのティプロマ等、入賞多数。第12回ホテルオークラ音楽賞、2013年新日鉄住金音楽賞受賞。これまでにN響やハンガリ一国立フィル等、国内外のオーケストラや著名指揮者と共演。「レコード芸術」特選盤に選ばれたイザイ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」(全曲、2010年)をはじめとした録音も多い。
こだわって聴いてきた音楽
― 今回はスマートフォンやタブレットPCでお聴きですか。
「私は以前からデジタル・デヴァイスが好きなほうで、新しい種類のものでも積極的に使ってきました。iPhoneは早くから使用しています。現在ではiPadもかなり重宝しています。自分の練習やリハーサルの音源を共演者とよく共有しますが、自分でソフトを使いパソコンで編集したりしています」
― ではマイ・イヤフォンなどもお持ちで音楽を聴かれるのですか。
「音楽を聴く時はアナログ派で、実はレコードで音源を聴くのがとても好きなのです。ですから、普段はスピーカーを使っています。私の仕事は『生音』勝負の仕事で、ホールの響きも楽器と思って演奏しています。機械を通さない楽器を扱っているので、デジタル感が抜けているほうが、研究する時は便利なのです。でもヘッドフォンでも聴きたいと思うことがあって、これまで幾つか持っていたのですが、長時間付けていると耳を圧迫するので、残念ながら継続して使ったことはなかったのです」
― ヘッドスピーカーF01はどんな印象だったでしょう。
「ヘッドスピーカーという名前に納得しました。私が今まで聴いたことがあるヘッドフォンと較べると、遥かに空間を感じます。通常のものだと音圧をすぐ感じるというか、ダイレクトに音が来ますよね。でもこれはワンクッションあって音の響く空間があるかのように聴けました」
― それは平面スピーカーの効果でしょうか。平面スピーカーからは平面波という音波が生み出されます。一般のコーン型スピーカーから生まれる球面波に較べると音が真っすぐ進む特性があります。
「演奏する時は、ホールの残響を含めて弾くので残響がやはり気になるのですが、このヘッドスピーカーでは残響をとても感じます。弾いている現場に近い感覚を教えてくれます。それは凄いなあと思いました」
新しい発見のあるヘッドスピーカー
― 研究でも使われるとなると聴き方もシビアになりますね。
「音楽の研究している時は、自分の音源などヴァイオリンの音や、他のヴァイオリニストの演奏を聴きます。また家事をしている時にインターネット・ラジオでクラシック・プログラムを聴いたりしますが、どちらも、とても生音の響きを大切にしているクラシック音楽らしく聴くことができました。クラシック音楽の良いところは、自分から音を探させてくれる点だと思うのですが、その“探す余裕”をもらえました。ヘッドフォンという密着しているデヴァイスなのに、その余裕を感じさせてくれたのは新しい発見でした」
― クラシック音楽は楽器によって音の特性が異なり、また楽器の組み合わせも多様ですが、そこはどうでしょうか。
「オーケストラでも器楽曲でもよく聞こえます。シンフォニーを聴くと、よく響くホールで聴いている感じがします。ホール前方ではなく、真ん中から後方、多方面の残響が合わさって響く音として聞こえてくる感じですね。器楽曲の場合は立ち位置までわかる気がしました。録音環境や音作りに関しても、研究する上で参考になります。例えば、ヴァイオリニストのギル・シャハムは、ピアノとの掛け合いでとてもとても細かいやり取りをしているのですが、スピーカーでは聴けなかった素敵な音の遊びを聴くことができました。ヴァイオリンはいつも綺麗な音だけを出しているのではありません。テクニックとしてわざと響かせない、倍音を出さず、殺した音を出すこともありますが、そうしたことが従来のものより感じられる気がしました」
優れた機能面
― しつかりとした作りのヘッドフォンでありながら、機能面ではBluetooth(無線)で繋げてスマートフォンなどを聴くことができます。ステレオに直接繋げた時と較べていかがでしょう。
「違いをあまり感じなかったです。Bluetoothでも大差なく、よくクリアに聞こえるのが凄いです。有線のほうが当然密度は高いのだと思いますが、違いを気にすることなく聴けました。そしてBluetoothの接続が簡単で速いことにも驚きました。あと、機能として電話できることにも! これも簡単に繋がるのですね。そして、私が何より嬉しかったのはイヤーパッドのクッションが良いのか耳が痛くならないことです。これならば長く愛用できる気がします。重さを感じないところも嬉しいです。それからデザインとしてイヤーパッドにある“f”字がヴァイオリンのf字孔のようで可愛くて……ヴァイオリニストとしてはとても」
― 今回はありがとうございました。
次号はソプラノ歌手の森麻季さんが、ヘッドスピーカーF01を体験します。本製品は、9月中旬より、ヨドバシカメラ(AKIBA、新宿西口、横浜、梅田、博多)で試聴可能です。
Bluetooth Flat Panel Powered ‘HeadSpeaker’ Wired & Wireless with Microphone
〈仕様〉BT:Bluetooth 4.2+APTX-LL/対応プロファイル:ADPl.3/HSPl.2/HFPl.6/連続再生時間:約20時間/再生周波数帯域:60Hz-20kHz/ドライバーユニット:φ60mmフラットパネル方式/重量:300g/外寸:186mm x 200mm x 78mm/通話機能:Bluetooth接続時に使用可(*端末のBluetoothプロファイルHFPl.2orl.6に対応している必要あり。一部機種によっては通話機能が使えない場合あり)
〈価格〉4万2000円(税抜き)〈問合せ〉株式会社エフ・ピー・エス:03-5665-6951 /info@fpsinc.co.jp